大阪で3日目の最終日は「尼崎市立成良中学校」で講演です。
この成良中では環境教育に熱心に取り組んでおり、今回ぜひネイチャークラブの生徒さんや地域の方々への講演をということでよんで頂きました。内容は「天ぷら油で地球一周、世界のエネルギー事情と環境のこと、被災地の現状、支援活動について」など。
また、僕たちの活動だけでなく、学校や徳島大の上月先生のご講演も伺って地域での活動もお聞きすることができました。
講演後、生徒さんからそれぞれ感想を頂きました。
「やりたい仕事をやるということについて勉強になったし、国際的に外国いっていろいろしてみたいなと思うので、何か言葉ではなく見て目あうだけで通じ合えるのはすごいな、外国にでてみたい」
「今自分たちは尼崎をかえようとがんばっている。自分たちがかえていくことで、どんどん大きくすることで、世界もかわるんだなと思った」
「未来のことを考えて行動することがすごい誇りだし、大事だと思いました」
「被災地での支援活動にふれて、今の自分にできることやりたいと思った」
「これから先のことを考えて、世界のことを考えていきたい」
「やりたいことをやる、でも僕はやりたいことはたくさんあるけど、僕は勇気がない。それはどうしていますか?」
成良中ではネイチャークラブを作り、環境のことを学び、改善していく活動を行っています。環境教育を担当するのが、技術工作の先生でもある中岡先生(上右)。生徒と学校を共に活かす環境教育の活動であり、学校と暮らしの中で「命」を学びます。また尼崎の他の研究会とも連携しながら、循環型社会を作って行くような研究を行っています。(その話は下で後述しますね)
今日、お弁当を作って頂いた「葵」さんのご家族が、講演にきてくださりお店の廃油をもってきてくれました(左上)旬の海の幸を山の幸を使った心のこもったお弁当、とても美味しかったです、ありがとうございました!
そして学校の「収穫祭」などで使った廃油もここで注入して頂きました。自分たちで使った油を目の前でリサイクルする体験です(右上、左下)
小さなペットボトルに家から出た廃油をつめて、もってきて頂いたお父さん。(右上)
頂いた廃油は、すべて東北での被災地支援活動のための燃料にさせて頂きます。皆さんありがとうございました。
この成良中の取り組みで驚いたのが、「屋上庭園」。各階に合わせて3フロアにもなる庭園があり、ネイチャークラブを中心とした生徒さんや先生方と植物を育てています(下左)。
屋上庭園の土は、通常の約半分の重さになる軽量土を使っています。芝生がとても気持ちがいい!屋上だから景色もよく日当りも抜群です。
「これ、食べてみてください」と中岡先生に手渡されたのが赤くてかわいらしいラズベリー。甘酸っぱくてとても美味しい。「地下茎で伸びるんです。たくさんなるからジャムも作ったりしてますねん」と他にもキンカンの実、ピーマン、ナス、綿花、ライム、コスモス、さとうきび……など、農作物や鑑賞植物も含めはなんと50種以上を育てています。5年前にはまだ芝生のみの状態。そこから土をもって上がることから始まり、植物を順番に育てて…今ではこの通り。まさにゼロからのスタートだったそうです。
堆肥はなんと構内で作っています。小型生ゴミ処理・コンポスト機を導入。その堆肥の原料となる生ゴミは食べ残しだけでなく、じつは “海の生物”なんです。
ここ尼崎周辺の港は、生活排水や直立護岸の増加によって、循環生態系の力が弱まっています。港で観察される”青潮”もそれを象徴する大きな現象なのです。そこで循環を改善するために、徳島大の上月先生とともにワカメを育てたり、死んで海底でヘドロになる前の大量のイガイ(貝)を回収し、構内の処理機で堆肥化しているのです。混ぜ込む落ち葉は構内の葉っぱを使用。海の環境改善と、陸での緑化を繋げて活動しているのです。(上写真左は、海藻を乾燥させたもの。それらを右の機器の中に入れて堆肥化)できた堆肥はちょっぴり緑色をしていました。ワカメだからでしょうか!?
庭園の至るところにあるのが、鳥の巣箱。生徒たちが作ったものだそうで「ここには鳥もようきますから “バードピア”にしたいと思っています。この巣箱に入るのはスズメ。都会の鳥はビニールとかプラスチックを巣の材料にしてますけど、ここではわざと雑草もはやして、”枯れる”という自然の流れも生徒に見せていきます。鳥もその庭の草を使って立派な巣を作るんです」
他にも廃材になった机を再利用して木枠にしたり、技術工作の時間にベンチやちょっとした机などを作って、構内で見近で使っていきます。
「子どもらがしんどそうにしてたらね、ちょっと来ぃゆうて、このライムの葉っぱをごしごししてみぃゆうて、嗅ぎますねん。そうするとスキッとしてね。…ミカンとか食べるものがとれたら2つ渡す。1つはその場で食べて恵みを感じる。1つは家帰って家族と一緒にわけて食べるように。子どもは”家族でわけて食べたで” っていってくれます」と中岡先生。
都会で暮らしていると、どうしても自然とは疎遠になりがちだ。本来僕ら人間は自然の一部であるはずなのに、自然はまた別のものなのだという感覚のまま育つ。しかし都会でもこうして多感な時期から校内で命を観察し、頭ではく心と体で命のリアルを感じることで、今人が育つために本当に必要とされているモノがゆっくりと育まれていくのではないか。
今日は記念に、屋上庭園に菜の花の種をみんなで植えました。そう、僕らも被災地で植えている”ナタネ”です。土に混ぜ込んだ堆肥は、もちろん海の循環活動で生徒の皆さんが作った堆肥。皆さんさすが手慣れた手つきでチャッチャと筋まき完了。すぐに播き終わりました。開花は来年です、春が楽しみですね。
皆さんありがとうございました! 次は油を一緒に絞って燃料にできたらいいですね。
またお会いできる日を楽しみにしています。